2014年10月21日

PEDro Top 15 trials

今年、PEDroが設立15周年を迎える。その記念として理学療法に関する重要な論文トップ15を掲載している。
http://www.pedro.org.au/english/top-15-trials/
筆頭著者の国別の内訳としては、英国とオーストラリアが4論文、米国とノルウェーが2論文、スエーデン、ニュージーランド、ブラジルが1論文である。

1.Efficacy of traction for non-specific low back pain: a randomised clinical trial
Beurskens AJ, de Vet HC, Koke AJ, Lindeman E, Regtop W, van der Heijden GJ, Knipschild PG
Lancet 1995 Dec 16;346(8990):1596-1600
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7500752
 非特異的腰痛に対する牽引療法の効果をみたRCT。結果として有効性は否定されているが、90年代は腰痛に対する牽引療法は一般的な治療法であったためインパクトのあった論文。

2.Comparison of stratified primary care management for low back pain with current best practice (STarT Back): a randomised controlled trial
Hill JC, Whitehurst DG, Lewis M, Bryan S, Dunn KM, Foster NE, Konstantinou K, Main CJ, Mason E, Somerville S, Sowden G, Vohora K, Hay EM
Lancet 2011 Oct 29;378(9802):1560-1571
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3208163/
 これもLancetに掲載された論文。STarT Back Screening Toolによる予後リスクに基づく層別化管理の有効性を無作為化比較試験で検討した研究。層別群は非層別群に比べ12カ月時の腰痛軽減効果が大きく、質調整生存年(QALYs)も延長するとともに、コストの節約も達成できた。

3.The effectiveness of the McKenzie method in addition to first-line care for acute low back pain: a randomized controlled trial
Machado LAC, Maher CG, Herbert RD, Clare H, McAuley JH
BMC Medicine 2010 Jan 26;8(10):Epub
http://www.biomedcentral.com/1741-7015/8/10
 急性腰痛に対するマッケンジー法の効果を多施設RCTで検討したもの。マッケンジー法群は対照群と比較して、効果の差は認められなかった。

4.Assessment of diclofenac or spinal manipulative therapy, or both, in addition to recommended first-line treatment for acute low back pain: a randomised controlled trial
Hancock MJ, Maher CG, Latimer J, McLachlan AJ, Cooper CW, Day RO, Spindler MF, McAuley JH
Lancet 2007 Nov 10-16;370(9599):1638-1643
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17993364
 急性腰痛の国際的な治療ガイドラインでは、第一選択の治療法として患者へのアドバイス(活動性を維持、ベッド安静を避ける、予後は良好と話して安心させる)およびパラセタモール(アセトアミノフェン)の投与が推奨されている。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)および脊椎マニュピュレーション(spinal manipulative therapy; SMT)は回復が遅い場合の第二選択治療とされる。
 この研究は第一選択の治療法(アドバイスとパラセタモールの投与)後のNSAIDとSMTの有効性をみた研究。結果としては、第一選択治療を受けた急性腰痛患者に、NSAIDもしくはSMTを併用しても回復は迅速化しないことが明らかとなっている。

5.Randomised controlled trial for evaluation of fitness programme for patients with chronic low back pain
Frost H, Klaber Moffett JA, Moser JS, Fairbank JC
BMJ 1995 Jan 21;310(6973):151-154
http://www.bmj.com/content/310/6973/151.long
 フィットネスによる腰痛軽減効果が認められた研究。安静や他動的な徒手療法が主流であった90年代の腰痛理学療法において、逆にアクティブな介入を組み込んだ初めてのRCT。

6.Mobilisation with movement and exercise, corticosteroid injection, or wait and see for tennis elbow: randomised trial
Bisset L, Beller E, Jull G, Brooks P, Darnell R, Vicenzino B
BMJ 2006 Nov 4;333(7575):939-944
http://www.bmj.com/content/333/7575/939.long
 テニス肘に対する理学療法(マニュピュレーションを含む)の効果をみた研究。

7.Ultrasound-guided extracorporeal shock wave therapy for plantar fasciitis. A randomized controlled trial
Buchbinder R, Ptasznik R, Gordon J, Buchanan J, Prabaharan V, Forbes A
JAMA 2002 Sep 18;288(11):1364-1372
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12234230
 足底筋膜炎に対する超音波誘導体外衝撃波療法の効果をみた研究。結果としては有効性は認められなかったが、PEDro score9/10と研究デザインの質は高い。

8.Exercises to prevent lower limb injuries in youth sports: cluster randomised controlled trial
Olsen OE, Myklebust G, Engebretsen L, Holme I, Bahr R
BMJ 2005 Feb 26;330(7489):449-455
http://www.bmj.com/content/330/7489/449.long
 構造的ウオームアップ運動プログラムのスポーツ傷害予防効果をみた研究。介入によるスポーツ傷害の軽減効果は約50%と大きな予防効果が得られ、予防的トレーニングの意義を示した研究。

9.Additional task-related practice improves mobility and upper limb function early after stroke: a randomised controlled trial
Blennerhassett J, Dite W
Australian Journal of Physiotherapy 2004;50(4):219-224
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15574110
 脳卒中患者に対するサーキットクラストレーニングの有効性をみた研究。脳卒中リハにおいて、早期にサーキットクラストレーニングを付加することによって上肢機能や歩行能力に有意な改善が得られている。

10.Effect of constraint-induced movement therapy on upper extremity function 3 to 9 months after stroke: the EXCITE randomized clinical trial
Wolf SL, Winstein CJ, Miller JP, Taub E, Uswatte G, Morris D, Giuliani C, Light KE, Nichols-Larsen D, for the EXCITE Investigators
JAMA 2006 Nov 1;296(17):2095-2104
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17077374
 Wolfらが実施したCI療法に関する初めての多施設RCT。脳卒中リハビリにかなり大きな影響を与えた論文。

11.Physiotherapy for Bell’s palsy
Mosforth J, Taverner D
British Medical Journal 1958 Sep 13;2(5097):675-677
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2026410/
 今から半世紀以上前の論文。Bell麻痺に対する理学療法の有効性をみた研究。電気刺激の有効性は認められなかったが、理学療法の効果をみた最初のRCTとしての意義は大きい。ちなみにBell麻痺に対する理学療法のコクランレビューはこちら

12.An early rehabilitation intervention to enhance recovery during hospital admission for an exacerbation of chronic respiratory disease: randomised controlled trial
Greening NJ, Williams JEA, Hussain SF, Harvey-Dunstan TC, Bankart MJ, Chaplin EJ, Vincent EE, Chimera R, Morgan MD, Singh SJ, Steiner MC
BMJ 2014 Jul 8;349:g4315
http://www.bmj.com/content/349/bmj.g4315.long
 今年、BMJに掲載された結構ショッキングな論文。COPDの入院リハにおける早期介入の効果をみた研究。早期リハビリテーション介入は、12ヶ月後までの、再入院リスクを減少せず、身体機能の改善促進的には働かない。むしろ、介入群は死亡率の増加が認められたいう報告。

13.Early physical and occupational therapy in mechanically ventilated, critically ill patients: a randomised controlled trial
Schweickert WD, Pohlman MC, Pohlman AS, Nigos C, Pawlik AJ, Esbrook CL, Spears L, Miller M, Franczyk M, Deprizio D, Schmidt GA, Bowman A, Barr R, McCallister KE, Hall JB, Kress JP
Lancet 2009 May 30;373(9678):1874-1882
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19446324
 ICUで生じる筋力低下やせん妄などの精神症状を含む廃用症候群はしばしば問題となるが、この研究は人工呼吸器装着患者に対する早期のPT、OT介入の有効性をみた研究。早期から鎮静剤を切った時にPT・OTを行うという介入は退院時ADLを改善させ、せん妄期間も短縮させたという結果。ICUにおける早期リハの有効性を示した論文。

14.Single blind, randomised controlled trial of pelvic floor exercises, electrical stimulation, vaginal cones, and no treatment in management of genuine stress incontinence in women
B K, Talseth T, Holme I
BMJ 1999 Feb 20;318(7182):487-493
http://www.bmj.com/content/318/7182/487.long
 腹圧性尿失禁に対する骨盤底筋トレーニングの有効性を厳格な評価でみた初めてのRCT。産科・婦人科領域のエビデンスに基づく理学療法の先駆けにもなった論文。

15.High-intensity functional exercise program and protein-enriched energy supplement for older persons dependent in activities of daily living: a randomised controlled trial
Rosendahl E, Lindelof N, Littbrand H, Yifter-Lindgren E, Lundin-Olsson L, Haglin L, Gustafson Y, Nyberg L
Australian Journal of Physiotherapy 2006;52(2):105-113
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16764547
 要介護高齢者に対する高強度運動トレーニングの効果をみた研究。対象者の半数は認知症、3分の2は椅子からの起立が自立していなかった。高強度トレーニングにより、バランス、歩行、下肢筋力、ADLに改善が認められている。タンパク質サプリメントには有効性が認められていない。認知症やフレイルティ高齢者に対する理学療法の有効性を示した論文。

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2014年09月30日

脳卒中治療ガイドライン2015 パブコメ募集中

日本脳卒中学会のガイドラインが6年ぶりにアップデートされ、現在、パブコメ募集中のようです。
http://www.jsts.gr.jp/

早速、リハビリテーションの更新内容についてチェック!

1-5.病型別リハビリテーションの進め方(特に急性期)
1. リハビリテーション(座位訓練・立位訓練など)の可及的早期の開始が、グレードC1→グレードBに推奨グレードがアップ。

1-7.維持期リハビリテーション
1.訪問リハビリテーションや外来リハビリテーション、地域リハビリテーションについての適応を考慮する、の推奨グレードがグレードB→グレードAにアップ

3.(新設)
 個々の患者の障害・ニードに対応したオーダーメイドのリハビリテーションアプローチが重要である。(グレードB)

2-1.運動障害・ADLに対するリハビリテーション
3.(削除)
「ファシリテーション(神経筋促通手技)、〔Bobath法、neurodevelopmental exercise(Davis)、Proprioceptive neuromuscular facilitation(PNF)法、Brunnstrom法など〕は、行っても良いが、伝統的なリハビリテーションより有効であるという科学的な根拠はない(グレードC1)。」
 2009年版ではいわゆるファシリテーションテクニックに科学的根拠がないことを上記のように明記していたが、2015年版では推奨項目からは削除されている。しかし、エビデンスの注釈では、いわゆるファシリテーション手技についてはエビデンス1もしくは2のレベルで、標準的なプログラムより有効であるという科学的根拠はないことが明記されている。

3.(新設)
 下肢機能やADLに関しては、課題を繰り返す課題反復訓練が進められる(グレードB)
”課題反復訓練(repetitive task training)”という言葉は我が国ではあまり使用されないが、コクランレビューでは大きく3つのカテゴリーで介入方法を分けている。
http://www.medicaljournals.se/jrm/content/?doi=10.2340/16501977-0473&html=1
@全体的治療アプローチ(whole therapy approaches)
 運動科学原理に基づくアプローチ
A複合的課題練習アプローチ(mixed task practice approaches)
 例)サーキットクラストレーニング
B単一課題トレーニング
 例)起立訓練

4.(削除)
 下肢麻痺筋に対する機能的電気刺激やペダリング運動は歩行能力の向上や、筋再教育に有効であり、通常のリハビリテーションに加えて行うことが勧められる(グレードB)。

2-2.歩行障害に対するリハビリテーション
1. 起立─着席訓練や歩行訓練などの下肢訓練の量を多くすること→ 歩行や歩行に関連する下肢訓練の量を多くすること

3. 痙縮による内反尖足が歩行や日常生活の妨げとなっている時に、脛骨神経または下腿底屈筋運動点のフェノールブロックを行うことが勧められる(グレードB)。
→痙縮による内反尖足が歩行や日常生活の妨げとなっている時に、ボツリヌス療法、5%フェノールでの脛骨神経または下腿筋への筋内神経ブロックを行うことが勧められる(グレードB)。

7. トレッドミル訓練、免荷式動力型歩行補助装置は脳卒中患者の歩行を改善するので勧められる(グレードB)。
→トレッドミル訓練は脳卒中患者の歩行を改善するので勧められる(グレードB)。
※「免荷式動力型歩行補助装置」を削除

8.(新設)
 歩行補助ロボットを用いた歩行訓練は発症3ヶ月以内の歩行不能例に勧められる(グレードB)

2-3.上肢機能障害に対するリハビリテーション
1.CI療法
 CI療法の推奨レベルがグレードB→グレードAにアップしている。

3.(新設)
 麻痺が軽度から中等度の患者に対しては、特定の反復を伴った訓練(麻痺側上肢のリーチ運動、目的志向的運動、両上肢の繰り返し運動、mirror therapy促通反復療法など)を行うことが勧められる(グレードB)。

4.(新設)
 反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)や経頭蓋直流電流刺激(tDCS)は検討してよいが、患者の選択、安全面に注意を要する(グレードC)。

2-4.痙縮に対するリハビリテーション
2. 痙縮による関節可動域制限に対し、フェノール、エチルアルコールによる運動点あるいは神経ブロック(グレードB)およびボツリヌス療法(保険適応外)(グレードA)が勧められる。
→上下肢の痙縮に対し、ボツリヌス療法(グレードA)およびフェノール、エチルアルコールによる運動点あるいは神経ブロック(グレードB)が勧められる。

2-5.片麻痺側の肩に対するリハビリテーション
3. 肩関節亜脱臼の予防として、三角巾やスリングの使用を考慮しても良い(グレードC1)。
→肩関節亜脱臼に伴う肩痛や肩手症候群の予防として、三角巾や肩関節装具の使用が勧められる(グレードB)
※肩関節装具が追加され、推奨レベルがアップしている。

6.(新設)
 麻痺側肩の疼痛に対する肩峰下滑液包へのステロイド注射は、疼痛を軽減させる効果がある(グレードB)。

2-6.中枢性疼痛に対する対応
1.(新設)
 脳卒中後の中枢性疼痛に対して、プレカバリンは有効であり勧められる(グレードB)。

3.(新設)
 薬剤無効例に対して、rTMSが疼痛を軽減させるという報告が増えている(グレードC1)。

4.(新設)
 薬剤無効例に対して、外科的手術療法として脊髄電気刺激法:SCSや大脳皮質電気刺激:MCSが疼痛を軽減させる可能性がある(グレードC1)。


2-7.嚥下障害に対するリハビリテーション
1.脳卒中患者においては、嚥下障害が多く認められる。それに対し、嚥下機能のスクリーニング検査、さらには嚥下造影検査、内視鏡検査などを適切に行い、その結果を元に、栄養摂取経路(経管・経口)や食形態、姿勢、代償嚥下法の検討と指導を行うことが勧められる(グレードB)
→脳卒中患者においては、嚥下障害が多く認められる。それに対し、嚥下機能のスクリーニング検査、さらには嚥下造影検査、内視鏡検査などを適切に行い、その結果を元に、栄養摂取経路(経管・経口)や食形態を検討し、多職種で連携して包括的な介入を行うことが勧められる。(グレードA)
※多職種連携が追記され、推奨グレードがアップしている。

3.頸部前屈や回旋、咽頭冷却刺激、メンデルゾーン手技、supraglottic swallow(息こらえ嚥下)、頸部前屈体操、バルーン拡張法などの間接訓練は、検査所見や食事摂取量の改善などが認められ、実施が勧められる(グレードB)。
→頸部前屈や回旋、咽頭冷却刺激、メンデルゾーン手技、supraglottic swallow(息こらえ嚥下)、頸部前屈体操、バルーン拡張法などの間接訓練は、検査所見や食事摂取量の改善などが認められ、それぞれの症例に合わせて包括的な介入として実施することが勧められる(グレードB)。

2-9.言語障害に対するリハビリテーション
1. 言語聴覚療法は、発症早期から集中的に、専門的に行うことが勧められる(グレードB)。
→言語聴覚療法は行うことが強く勧められる(グレードA)

2-10.認知障害に対するリハビリテーション
3.半側空間無視に対し、視覚探索訓練、無視空間への手がかりの提示などが勧められる(グレードB)。また、プリズムレンズの装着、左耳への冷水刺激、無視空間への眼振の誘発を行う視運動性刺激、無視側への体幹の回旋、左後頸部の筋への振動刺激、以上の治療手技の組み合わせなども勧められる(グレードC1)が、治療の永続的効果、日常生活動作への般化については、十分な科学的根拠はない。
→半側空間無視に対し、視覚探索訓練、無視空間への手がかりの提示、プリズム適応による治療などが勧められる(グレードB)。また、左耳への冷水刺激、無視空間への眼振の誘発を行う視運動性刺激、無視側への体幹の回旋、左後頸部の筋への振動刺激、反復経頭蓋磁気刺激、アイパッチ、ミラーセラピー、以上の治療手技の組み合わせなども勧められる(グレードC1)が、治療の永続的効果、日常生活動作への般化については、十分な科学的根拠はない。

4.記憶障害に対し、軽度例ではメモやスケジュール表、ポケットベルなどの記憶障害を補う補助手段の活用訓練が、中等度から重度の例では領域特異的な技術や知識(ある特定の領域に特化した技術や知識)の獲得を学習する訓練が勧められる(グレードB)。また手続き記憶学習(運動学習)を行うことが勧められる(グレードB)。
→記憶障害に対し、軽度例では視覚イメージなどの内的ストラテジーとメモやスケジュール表、ポケットベルなどの外的代償手段の活用訓練が、重度の例では生活に直接つながる外的補助具の使用が勧められ(グレードB)、特定の技術や知識の修得には誤りなし学習が勧められる(グレードC1)。

7.(新設)
 遂行機能障害に対し、メタ認知を高める訓練や問題解決訓練が外傷性脳損傷患者において勧められるが、その効果や脳卒中患者への適応に関して十分な科学的根拠はない(グレードC1)

2-13.うつ状態に対する対応
2.うつ状態に対して、早期に三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬などの抗うつ薬を開始することが勧められる(グレードB)。
→うつ状態に対して、早期に三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬などの抗うつ薬を開始することが勧められる(グレードB)。
※「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」を削除

posted by Shiraishi at 17:35| Comment(0) | 脳卒中

2014年09月16日

転倒予防プログラムは集団訓練、それとも個別訓練、どちらが有効?

転倒予防に有効とされるオタゴエクササイズの集団訓練と個別訓練の効果を比較した研究。

転倒傾向にある高齢者に対するオタゴ運動プログラムのグループトレーニング VS 在宅トレーニング:RCT
The Otago Exercise Program performed as group training versus home training in fall-prone older people: a randomized controlled Trial.
Kyrdalen IL, Moen K, Røysland AS, Helbostad JL.
Physiother Res Int. 2014 Jun;19(2):108-16.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24339273

研究デザイン:RCT、単盲検
PEDro score:6/10

P:(Patients)
125名の高齢者(平均年齢82.5歳)、女性が73%、転倒経験者が74%、37%に転倒関連入院歴あり。

I:(Intervention)
GT群:グループトレーニング群、週2回オタゴ運動プログラムを理学療法士の監視下で12週間実施。

C:(Comparison)
HT群:在宅トレーニング群、週3回、自宅でオタゴ運動プログラムを理学療法士の監視下で12週間実施。
※2群のトレーニング回数は異なるが、合計のトレーニング時間は同等。

O:(Outcome)
ベースライン時(T1)、12週後(T2)、介入後3ヶ月(T3)にBerg Balance Scale(BBS)、筋力(30秒起立テスト)、移動能力(Timed Up and Go test)、転倒恐怖感、主観的健康感(SF36)を評価
主アウトカム:T2のBBS

RESULTS:
T1からT2までの期間では、HT群に比べGT群の方が有意なBBSの改善を認めた(群間の平均変化差 3.2 points, 95%CI = 0.7-5.8, p = 0.014)。
2次アウトカムでは、30秒起立テスト・SF36(身体機能)において、GT群に有意な改善が認められた。
Timed Up and Go test、SF36(精神的健康)、転倒恐怖感については群間に差は認められなかった。
T3においては、30秒起立テスト・Timed Up and Go testでGT群の方が良好であったが、BBSには差は認められなかった。

コメント:
オタゴ運動プログラムはニュージーランド、オタゴ医科大学のCampbellとRobertsonらが中心となって開発した転倒予防運動プログラムである。
イラスト入りの手引き書はこちら
オタゴ運動プログラムのエビデンスについては、2010年のThomasらのシステマティックレビューがあり、その有効性が示唆されている。
Does the 'Otago exercise programme' reduce mortality and falls in older adults?: a systematic review and meta-analysis.
Thomas S, Mackintosh S, Halbert J.
Age Ageing. 2010 Nov;39(6):681-7.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20817938
7試験を統合した結果、オタゴ運動プログラムにより12ヶ月後の死亡リスク (risk ratio = 0.45、95%CI= 0.25-0.80)と転倒率 (転倒発生率 = 0.68, 95% CI = 0.56-0.79)は有意に減少した。転倒後の中等度から重度の外傷リスクについては差は認められなかった。

今回の結果から、転倒傾向にある高齢者に対するオタゴ運動プログラムは、在宅での個別訓練に比較して、転倒恐怖感や精神的健康感には差は認められなかったものの、集団訓練の方が機能的バランス・筋力・身体的健康感の改善に有効であることが示唆された。

これも参考までに、
「筋力とバランス能力をターゲットにしたホームプログラムは軽度のバランス障害を有する高齢者に有効」
http://rpt.sblo.jp/article/55697466.html

posted by Shiraishi at 19:03| Comment(0) | 転倒

2014年08月22日

TKR術後のCPMのエビデンスは?

TKR後CPMの有効性のRCT
Randomized controlled trial of the effectiveness of continuous passive motion after total knee replacement.
Herbold JA, Bonistall K, Blackburn M, Agolli J, Gaston S, Gross C, Kuta A, Babyar S.
Arch Phys Med Rehabil. 2014 Jul;95(7):1240-5.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24685389

急性期後リハビリテーションにおけるTKR術後のCPMの効果をみた研究。

研究デザイン:RCT

P:(Patients)
リハビリ病棟入院時に初期膝屈曲角75°未満のTKR術後患者141名

I:(Intervention)
CPM群71名:毎日3時間の通常治療+2時間のCPM施行

C:(Comparison)
非CPM群70名:毎日3時間の通常治療のみ

O:(Outcome)
主アウトカム:自動膝屈曲ROM
副アウトカム:自動膝伸展ROM、FIM、TUG、周径、Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index scores

RESULTS:
入院時から退院時までに全被検者の全てのアウトカムに有意な改善が認められた。しかし、CPM群と非CPM群の退院時アウトカムに、2群間の有意差は認められなかった。
著者は初期屈曲角が不十分な患者のTKR術後CPMの有効性は見いだせなかったと述べている。

コメント:
TKR術後CPMの効果についてはコクランレビューに2つの報告がある。

1.Continuous passive motion following total knee arthroplasty in people with arthritis.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20238330
12件のRCTが抽出され、CPMの効果は、他動膝屈曲角度で2°、自動膝屈曲角度で3°の有意な改善が認められたが、この値は非常に小さく臨床的に意味のある改善とは言えない。
入院期間については、差は認められなかったが、麻酔下のマニュピュレーション施行頻度については減少効果が認められた。

2.Continuous passive motion for preventing venous thromboembolism after total knee arthroplasty.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22258981
CPMによるTKR術後の静脈血栓塞栓症の予防効果をみたシステマティックレビュー。詳細はこちらを参照して下さい。

TKR術後のCPMのエビデンスについて、現状では膝屈曲角度、静脈血栓塞栓症予防、入院期間短縮に対する有効性は不十分であると思われる。

posted by Shiraishi at 06:51| Comment(0) | 運動器

2014年07月24日

コクラン・レビュー・アブストラクト日本語訳アップデート:Minds

MIndsのコクラン・レビュー・アブストラクト2013の日本語訳がアップデートされていました(7月23日)。
リハビリテーション関連は以下の通りです。
興味がある方はここから
(メインメニュー→医療提供者向け→コクラン・トピックス・その他)

軽度から中等度のアルツハイマー病および脳血管性認知症に対する認知機能訓練および認知リハビリテーション(2013 issue 6, Update)
(脳・神経→認知症)

脳卒中後の注意欠陥に対する認知リハビリテーション(2013 issue 5, Update)
(脳・神経→脳卒中)

動脈瘤性くも膜下出血に対する早期離床と後期離床との比較(2013 issue 5, New)
(脳・神経→脳卒中)

脳卒中後の人における転倒予防に対する介入(2013 issue 5, New)
(脳・神経→脳卒中)

脳卒中後の機能改善のための反復経頭蓋磁気刺激(2013 issue 5, New)
(脳・神経→脳卒中)

脳卒中後痙縮に対するボツリヌス毒素およびその他の局所筋内投与後の集学的リハビリテーション(2013 issue 6, New)
(脳・神経→脳卒中)

脳卒中を伴うケアホーム入居者に対する作業療法(2013 issue 6, New)
(脳・神経→脳卒中)

脳卒中後の患者の失語症改善のための経頭蓋直流刺激(tDCS)(2013 issue 6, New)
(脳・神経→脳卒中)

posted by Shiraishi at 18:07| Comment(0) | EBM